Symposium2009

シンポジウム関連取材企画 Vol.1

Museum Communication Channel Projectでは、2009年1月のシンポジウムのテーマに相応しい取り組みを行っている様々なプロジェクトを取材ベースで紹介していきます。

・MITが推進するVisualizing Culturesプロジェクト

Visualizing Culturesは、文化機関などに保管されている資料をデジタル画像化し、主に東アジア近代文化史の研究分野と結びインターネットを通じ公開することで、よりよい教育・研究に役立てる試みです。カーネギー・メロン大学大学院在学中の松田咲さんが、マサチューセッツ工科大学 VCプログラム・ディレクターのスコット・シャンクさんを訪ね、お話を伺いました。

 第1回: プロジェクトの意義、想定される利用者
 第2回: ウェブ・プロジェクトにおけるデザインの重要性
 第3回: 課題とこれからの展望

Visualizing Culturesについては、2008年5月29日、同プロジェクトを歴史学者のJohn Dower博士と共に立ち上げ、プログラム・ディレクターとして同プロジェクトを強力に推進するMITの宮川繁教授にレクチャー&プレゼンテーションでご紹介頂きました。その時の様子は下記でご覧頂けます。

当日の会場の様子

宮川教授レクチャー動画・ページ1
宮川教授レクチャー動画・ページ2
宮川先生とVisualizing Culturesプロジェクトについてはこちら

Visualizing Culturesインタビュー第3回

日時:2008年10月30日
場所:マサチューセッツ州ボストン、マサチューセッツ工科大学
語り手:マサチューセッツ工科大学VCプログラム・ディレクター スコット・シャンクさん
Scott Shunk, Program Director, MIT Visualizing Cultures
聞き手:松田咲(カーネギーメロン大学アーツ・マネジメント修士課程)
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第三回目(最終回)


− これまでに、文化機関から協力を得るのが困難だったことはありますか?
 
何度もありますよ。資料の公開・使用を渋る機関とは多く掛け合ってきました。しかしそういった場合に、私たちはこのプロジェクトの趣旨、目的がいかに彼らの本来の活動理念に沿うものであるかを主張し、理解を得てきました。そもそも営利目的ではないし、手を組むことによってより良い人文研究の発展に貢献できる。更にはそれまで不可能だった資料の公開に伴って、その帰属機関自体の知名度・利用度も上がるという、いいことづくしのはずなのです。
このような外部の協力に基づいたプロジェクトでは、綿密かつ的を射たコミュニケーションが全ての面で物を言います。私はいわばスモール・ビジネスを運営している気持ちでやっていますよ。VCの具体的な機能、いかに資料が画期的な方法で使用されて、どう役に立つのか、そういったポイントをクリアにしながら、お互いにとっての利点・価値を共有するプロセスはある意味ビジネス的であると思います。


− やはり協力機関にとっては、著作権が主な問題なのでしょうか?
 
90年代はまだ、権利問題を懸念して資料のオンライン公開への協力を拒む主体が多かったのですが、現在ではその面での理解は深まり、それよりもコストの面で難色を示される場合の方が多いですね。所蔵資料を高画質のデジタル画像に取り込む態勢が整っていない場合、導入にはお金もかかりますし、何よりかなりの時間と労力をとられますからね。
それと、比較的最近のメディア資料、例えばビデオフィルム、テレビ画像などに関しては、著作権の処理が複雑で、使用が難しいという点はあります。


− 現在直面されている困難、または課題はありますか?

膨大なデータの整備ですね。現在一つのユニットにつき、400近くの画像が用いられていますから、既にVCはネット上での資料館になりつつあります。異なるユニット、資料の種類や帰属元の分類方法によって、まだそれぞれのデータが個々に配置されている状態です。それらを統一したデータベースにまとめ、包括的なデータ検索エンジンをウェブ上に作るのが目下の課題です。


− VCの今後の展望を聞かせて下さい。
 
今後ユニットで扱う分野を広げていくのはもちろんですが、VCの活動についてより広く認識して理解してもらえるように、努力していきたいと思っています。後世にもこれを一つの新しい学問研究のモデルとして容認してもらえるように、より強固に存在を確立していきたいですね。


− どうもありがとうございました。