Symposium2009

ミッション・ステートメント

パブリック・ドメイン資料(*ここでは単なる著作権切れの著作物という意味だけでなく、図書館、美術館、博物館などの公共機関に属する寄贈資料を含む)は、グーグルやマイクロソフトといったIT企業によって競うようにデジタル化が進められていますが、一方で、少数の民間企業がパブリック・ドメインの資料をコントロールすることが懸念されてもいます。これに対して、多くの米国大学、図書館、NPO機関は、企業に頼らない独自のデジタル化プロジェクトの推進を提唱しているところです。残念ながら、日本やアジア諸国では、こうした「懸念」が議論の遡上にのぼる機会が少なく、それ以前に、パブリック・ドメイン、及び、フェア・ユースの定義が曖昧です。

「パブリック・ドメイン」、「フェア・ユース」の定義と、活用のためのガイドラインを世界で共有し、消費材としてのコンテンツの著作権論議とは異なる、教育・研究目的でのデジタル化された資料をオンライン活用する環境を整えることが本シンポジウムの目的です。

インターネットは、民主主義を実現するためのコミュニケーション・ツールになり得るという基本理念に立ちかえり、ビジネス界、文化機関、市民社会の異なる分野の担い手を結びつける創造的ネットワークと対話の形成・促進を実現するため、私たちはこのテーマでのシリーズ・レクチャーを開催することを考えました。同時に米、欧、アジア地域でのディスカッション、準備会合を経て明確な論点を設定し、東京における公開シンポジウムを通じて、できる限り多くの人々と理念を共有することを目指しております。

プログラム

パブリック・ドメイン収蔵品資料の活用へ向けて
―美術館・博物館収蔵の映像資料のフェア・ユースを考える―
Bridging the IP Gap: Realistic Models for Promoting Universal Access
to Human Knowledge and Creativity


主催:慶應義塾大学DMC機構
助成:国際交流基金日米センター
後援:アメリカ大使館フランス大使館駐日韓国大使館、韓国文化院カナダ大使館日本ミュージアム・マネジメント学会全日本博物館学会日本展示学会アート・ドキュメンテーション学会財団法人日本博物館協会
協力:東京都歴史文化財団トーキョーワンダーサイトオリンパス株式会社未来創造研究所株式会社文化環境研究所早稲田システム開発株式会社株式会社BCCKSサントリー株式会社ライトスピード株式会社
会場:慶應義塾大学三田キャンパス、北館

1月24日 

9時30分〜
プログラム・チェアよりご挨拶:岩渕潤子(慶應義塾大学DMC機構、教授)

9時45分〜10時30分 セッションI
プレゼンテーションI:「ミュージアムと共有文化財:知財の枠を超えて」
デイヴィッド・ビアマン氏(アーカイブズ&ミュージアム・インフォーマティクス、共同経営者/ミュージアムズ・アンド・ザ・ウェブ会議、主催)

*コーヒー・ブレーク

11時00分〜12時15分 セッションII:オープン・クリティーク
「世界のミュージアム・ウェブの現状と課題」
現場からの報告と問題提起:ジェニファー・トラント氏(アーカイブズ&ミュージアム・インフォーマティクス、共同経営者/ミュージアムズ・アンド・ザ・ウェブ会議、主催)
モデレーター:今村有策氏(トーキョーワンダーサイト、館長)
コメンテーター:ヴァンサン・ピュイグ氏(ポンピドゥーセンター・IRI研究所、副所長)、安藤摂氏(株式会社BCCKS【ブックス】、CSO)、前田富士男(慶應義塾大学文学部、教授/アートセンター、所長)

*各自昼食

13時45分〜14時15分 セッションIII:各国より現状報告とケース・スタディーの紹介
報告I 韓国:べ・キドン教授(漢陽大学博物館、館長/韓国博物館協会、会長)

14時30分〜15時00分
報告II フランス:ヴァンサン・ピュイグ氏(ポンピドゥーセンター・IRI研究所、副所長)

*コーヒー・ブレーク

16時00分〜16時30分
報告III 台湾:ツァイ・チュンミン氏(台湾大学、センター・オブ・デジタル・アーカイヴス研究員)

16時45分〜17時15分
報告IV アメリカ:エドワード・イフシン氏(パシフィックビジョンパートナーズ、コンサルタント)、ゴードン・ノックス氏(スタンフォード大学人文研究所【SHL】、グローバル・イニシアティヴス担当)

*ノックス氏急病のため、スタンフォード大学人文研究所【SHL】、アソシエート・ディレクターのヘンリク・ベネットセン氏が発表します。(2009年1月22日)

17時15分〜17時25分
慶應義塾大学よりご挨拶
村井純 (慶應義塾、常任理事)

 
1月25日

9時30分〜
前日の内容紹介:岩渕潤子(慶應義塾大学DMC機構、教授)

9時45分〜10時30分 セッションIV
プレゼンテーションII:「知財クライシスをいかに打開すべきか?」
ウィリアム・フィッシャー教授(ハーバード大学法科大学院バークマン・センター、ファカルティ・ディレクター)

10時45分〜11時30分 セッションV
プレゼンテーションIII:「知財へのアクセスを考える現実的ビジネスモデルとは?」
スチュワート・シーフェイ氏(イメージ・フォートレス、メディア部門代表)

二つのセッションの後、11時50分までを目安として会場の皆様との交流を交えたディスカッションを予定しております。

*各自昼食

13時15分〜14時30分 セッションVI:パネル・ディスカッション
「コンテンツホルダーとしての美術館・博物館の理想とは?」 
チェア: 岩渕潤子(慶應義塾大学DMC機構、教授)
現場からの報告と問題提起:鎮目良文氏(たばこと塩の博物館、学芸員)
パネリスト:
樺山紘一氏(印刷博物館、館長)
福原義春氏(東京都写真美術館、館長)
池上徹彦氏(文部科学省宇宙開発委員会、委員)

*コーヒー・ブレーク

15時〜16時15分 セッションVII:パネル・ディスカッション
「知財:望ましいナショナル・ポリシーと現実的な対応」
チェア:金正勳(慶應義塾大学DMC機構、准教授)
パネリスト:
伊藤真氏(弁護士・弁理士)
上野達弘氏(立教大学法学部、准教授)
藤川義人氏(弁護士・弁理士/京都大学産官学連携センター、客員准教授)

16時30分〜17時30分 セッションVIII:総括:実践的モデル提案へ向けてのディスカッション
金正勳(慶應義塾大学DMC機構、准教授)、岩渕潤子(慶應義塾大学DMC機構、教授)ほか、スティアリング・コミティー・メンバー

関西編 No.11~13

#011


#012


#013

関西編 No.6~10

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#009


#010

関西編 No.1~5

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シンポジウム関連取材企画 Vol.3

「ボクらのミュージアム」インタヴュー・シリーズ

日本人にとって「ミュージアム」とは何か? 「ミュージアム」という言葉からイメージすることはどんなことか? 

日本国内、全国各地の老若男女の持つ「ミュージアム」のイメージを探るため、同じ質問をできる限り多くの人に行おうという、前代未聞のプロジェクトがここに始動した。まずは、関西在住のクリエーター、T&Tデザイン・ラボ主宰、谷卓司氏の協力を得て、関西地域の若い美大生たちを中心とするインタヴュー、50本が撮影され、慶應義塾の動画配信プラットフォーム、VOLUMEONEにアップロードされた。

今後、東京を始め、全国各地に協力者を探し、あるいは、各地でのミュージアム出口ロケを行い、日本人1000人が考える「ミュージアム」像をヴィデオ・インタヴューとして俯瞰する。

このプロジェクトは、世界各地に協力者を探し、全世界規模での定点リレー・インタヴューへと発展させ、ある種のネットワーク化された個人ドキュメンタリー映像の見せ方を模索・提案する。

「ボクらのミュージアム」インタヴュー・シリーズ

関西編No.1 ~ No.5

関西編No.6 ~ No.10
関西編No.11 ~ No.13

アブストラクト

Session I:
Presentation I:
David Bearman

Session II: Open Critique and Discussion
Current Issues: Museums and the Web
Case Presenter: Jennifer TRANT (Partner, Archives & Museum Informatics/Conference Co-Chair, Museums and the Web)

Session III: Presentations and Case Studies
Report I: South Korea
BAE Kidong (Director, University Museum, Hanyang University/President, The Korean Museum Association)
Report II: France
Vincent Puig (Deputy Director, Institute of Research and Innovation, Centre Pompidou)
Report III: Taiwan
Chiung-min TSAI (Researcher, Center of Digital Archives, National Taiwan University)
Report IV: U.S.A.
Edward IFSHIN (Pacific Vision Partners), Gordon KNOX (Global Initiatives, Stanford Humanities Lab)

Session IV
Presentation II: “Solutions to the IP Crisis”
William Fisher

Session V
Presentation III:
Stewart Cheifet

Session VI: Panel Discussion
“Visions of Museum as a Content Holder”
Case presentation by Yoshifumi SHIZUME (Curator, Tobacco and Salt Museum)

スピーカー・プロフィール

Osamu ANDO
BAE Kidong
David BEARMAN
Henrik BENNETSEN
Stewart CHEIFET
William FISHER
Yoshito FUJIKAWA
Yoshiharu FUKUHARA
Edward IFSHIN
Tetsuhiko IKEGAMI
Yusaku IMAMURA
Makoto ITOH
Junko IWABUCHI
KIM Junghoon
Koichi KABAYAMA
Gordon KNOX
Fujio MAEDA
Jun MURAI
Vincent PUIG
Yoshifumi SHIZUME
Jennifer TRANT
Chiung-min TSAI
Tatsuhiro UENO

IMLS Interview/Video

ワシントンD.C.にあるIMLS (Institute for Museum and Library Services)で、2008年11月13日に行ったインタヴューのヴィデオを以下でご覧頂けます。取材に応じて頂いたのは、Marsha Semmelさん(Deputy Director for Museum Services and Director for Strategic Partnerships)と Mamie Bittnerさん(Deputy Director, Office of Policy, Planning, Research and Communications)、インタヴュワーは、慶大DMC機構の岩渕潤子とPacific Vision PartnersのEdward Ifshin氏。撮影・編集は慶大DMC機構の加藤舞です。

なお、下記、インタヴューのテキストは次のページでご覧頂けます。

英語テキスト

日本語テキスト

IMLS Interview No.1~5
IMLS Interview No.6~10
IMLS Interview No.11~14

IMLS Interview No.11~14

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IMLS Interview No.6~10

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IMLS Interview No.1~5

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