Symposium2009

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2009年1月「美術館・博物館収蔵の映像資料のフェア・ユースを考える」を開催しました

パブリック・ドメイン収蔵品資料の活用へ向けて
―美術館・博物館収蔵の映像資料のフェア・ユースを考える―
Bridging the IP Gap: Realistic Models for Promoting Universal Access
to Human Knowledge and Creativity

主催:慶應義塾大学DMC機構
会場:慶應義塾大学三田キャンパス、北館
助成:国際交流基金日米センター
後援:アメリカ大使館フランス大使館駐日韓国大使館、韓国文化院カナダ大使館日本ミュージアム・マネジメント学会全日本博物館学会日本展示学会アート・ドキュメンテーション学会財団法人日本博物館協会
協力:東京都歴史文化財団トーキョーワンダーサイトオリンパス株式会社未来創造研究所株式会社文化環境研究所早稲田システム開発株式会社株式会社BCCKSサントリー株式会社ライトスピード株式会社
定員:240名(参加無料)
言語:日米同時通訳あり

趣旨説明
プログラム

申し込み方法:

件名:「『パブリック・ドメイン収蔵品資料の活用へ向けて』参加申し込み」
お名前、ご所属、連絡先(電話およびE-mail)をお書きの上、下記までお申し込
みください。
  • E-mail: mccp@ml.dmc.keio.ac.jp

  • お問い合わせ先:慶應義塾大学DMC機構 担当山村
    電話:03-5418-6432 (代表)  

    2009年1月24日、25日の両日、慶大・三田キャンパスでお会いしましょう!!!

    シンポジウム関連取材企画 Vol.1

    Museum Communication Channel Projectでは、2009年1月のシンポジウムのテーマに相応しい取り組みを行っている様々なプロジェクトを取材ベースで紹介していきます。

    ・MITが推進するVisualizing Culturesプロジェクト

    Visualizing Culturesは、文化機関などに保管されている資料をデジタル画像化し、主に東アジア近代文化史の研究分野と結びインターネットを通じ公開することで、よりよい教育・研究に役立てる試みです。カーネギー・メロン大学大学院在学中の松田咲さんが、マサチューセッツ工科大学 VCプログラム・ディレクターのスコット・シャンクさんを訪ね、お話を伺いました。

     第1回: プロジェクトの意義、想定される利用者
     第2回: ウェブ・プロジェクトにおけるデザインの重要性
     第3回: 課題とこれからの展望

    Visualizing Culturesについては、2008年5月29日、同プロジェクトを歴史学者のJohn Dower博士と共に立ち上げ、プログラム・ディレクターとして同プロジェクトを強力に推進するMITの宮川繁教授にレクチャー&プレゼンテーションでご紹介頂きました。その時の様子は下記でご覧頂けます。

    当日の会場の様子

    宮川教授レクチャー動画・ページ1
    宮川教授レクチャー動画・ページ2
    宮川先生とVisualizing Culturesプロジェクトについてはこちら

    Visualizing Culturesインタビュー第3回

    日時:2008年10月30日
    場所:マサチューセッツ州ボストン、マサチューセッツ工科大学
    語り手:マサチューセッツ工科大学VCプログラム・ディレクター スコット・シャンクさん
    Scott Shunk, Program Director, MIT Visualizing Cultures
    聞き手:松田咲(カーネギーメロン大学アーツ・マネジメント修士課程)
    --
    第三回目(最終回)


    − これまでに、文化機関から協力を得るのが困難だったことはありますか?
     
    何度もありますよ。資料の公開・使用を渋る機関とは多く掛け合ってきました。しかしそういった場合に、私たちはこのプロジェクトの趣旨、目的がいかに彼らの本来の活動理念に沿うものであるかを主張し、理解を得てきました。そもそも営利目的ではないし、手を組むことによってより良い人文研究の発展に貢献できる。更にはそれまで不可能だった資料の公開に伴って、その帰属機関自体の知名度・利用度も上がるという、いいことづくしのはずなのです。
    このような外部の協力に基づいたプロジェクトでは、綿密かつ的を射たコミュニケーションが全ての面で物を言います。私はいわばスモール・ビジネスを運営している気持ちでやっていますよ。VCの具体的な機能、いかに資料が画期的な方法で使用されて、どう役に立つのか、そういったポイントをクリアにしながら、お互いにとっての利点・価値を共有するプロセスはある意味ビジネス的であると思います。


    − やはり協力機関にとっては、著作権が主な問題なのでしょうか?
     
    90年代はまだ、権利問題を懸念して資料のオンライン公開への協力を拒む主体が多かったのですが、現在ではその面での理解は深まり、それよりもコストの面で難色を示される場合の方が多いですね。所蔵資料を高画質のデジタル画像に取り込む態勢が整っていない場合、導入にはお金もかかりますし、何よりかなりの時間と労力をとられますからね。
    それと、比較的最近のメディア資料、例えばビデオフィルム、テレビ画像などに関しては、著作権の処理が複雑で、使用が難しいという点はあります。


    − 現在直面されている困難、または課題はありますか?

    膨大なデータの整備ですね。現在一つのユニットにつき、400近くの画像が用いられていますから、既にVCはネット上での資料館になりつつあります。異なるユニット、資料の種類や帰属元の分類方法によって、まだそれぞれのデータが個々に配置されている状態です。それらを統一したデータベースにまとめ、包括的なデータ検索エンジンをウェブ上に作るのが目下の課題です。


    − VCの今後の展望を聞かせて下さい。
     
    今後ユニットで扱う分野を広げていくのはもちろんですが、VCの活動についてより広く認識して理解してもらえるように、努力していきたいと思っています。後世にもこれを一つの新しい学問研究のモデルとして容認してもらえるように、より強固に存在を確立していきたいですね。


    − どうもありがとうございました。

    Visualizing Culturesインタビュー第2回

    日時:2008年10月30日
    場所:マサチューセッツ州ボストン、マサチューセッツ工科大学
    語り手:マサチューセッツ工科大学VCプログラム・ディレクター スコット・シャンクさん
    Scott Shunk, Program Director, MIT Visualizing Cultures
    聞き手:松田咲(カーネギーメロン大学アーツ・マネジメント修士課程)
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    − VCウェブサイトの具体的な機能と、デザインにおいて工夫していることを教えて下さい。

     VCは、研究主題ごとに画像中心の論文、資料解説、画像ギャラリー、そしてビデオ・アニメーションなどのページを組み合わせたユニットを構成し、ウェブ上で公開しています。現在計13のユニットが閲覧可能で、それぞれの主題に沿った様々な資料と情報をウェブ上で文字通り「探索」できるようになっています。
    随筆論文に関してはアカデミックな文章が鮮やかな画像を取り囲むかたちで、読みやすさを優先させています。資料解説のページにおいて最もユニークな点は、画像イメージが水平方向に配置してあり、ユーザーが横にスクロールしながら画像を楽しめる点です。特に連続性のある資料(巻物、風刺画のシリーズなど)にはとても有効で、高画質のイメージと適度な注釈によって視覚的な理解を促し、その主題に対して「もっと知りたい!」と興味を掻き立てられるような内容にしています。
    こうして、画像資料から興味を得た人が詳しい随筆論文のページへ、またその反対、と異なる切り口での情報へ自由に行き来することができ、いわばキャッチボールのような作用を通してより理解を深められると考えています。

    この全体構造をデザインする上で重要視したのは、情報の提供においてユーザーに様々なアクセスポイントを用意する、ということでした。現代社会において、人々はあらゆる手段を通して即座に情報を得ることに慣れています。そのためVCのウェブサイト内においても、簡単に欲しいものが見つかるように様々な入り口を散りばめ、関連するコンテンツにすぐにジャンプできるような、情報の相互リンクに留意してきました。


    − VCのプロジェクト・チーム、協力機関との関係など、VCの舞台裏について教えて下さい。

     チームは、私を含め5人です。メンバーは、創設者/総監督のダウアー教授と宮川茂教授、クリエイティブ・ディレクター、メディア・デザイナー、そして私は渉外業務やプログラム全体の監修を行っています。2002年にVCプロジェクトが発足する以前から、デザインに携わるメンバーとは長い間仕事仲間として働いてきたためチームワークはとてもスムーズで、皆が意見を出し合って、アイディアを共有しながらウェブ・デザインを考えています。
     また研究主題、教材作成、財源開拓などの面においてはそれぞれ学会関係者や専門家からなる顧問委員会を設置し、プログラムを充実させていくためのサポートを得ています。

     VCを運営していく上で、資料を保有する文化機関との強いパートナーシップは不可欠です。例えば「ペリー来航」のユニット制作には、日米の50の異なる文化機関からの協力を得ました。このときは先に主題が決まっていたので、とにかく関連しうる資料にアプローチして分析・吟味を加え、体系的な構造を組み立てていく、という方法でした。ただこのような方法は稀で、現在はだいたい機関ごとにまとまった資料を提供してもらい、そこからテーマを編み出していくことが多いですね。先日、中国の近代史に関する資料を、イェール大学の研究所からおよそ200GB分のデジタル画像集として送ってもらいました(画像一枚がおよそ50MG)。それを活用して、これから新しいユニットを建設していく予定です。



    Scott Shunk 氏と彼のオフィス、通称 Visualizing Cultures Laboratory。
    デスクトップパソコンが一台、歴史関連の本が並ぶ本棚、窓からは中庭が見えます。